東北を訪ねて

ちょうど1週間前、取材で東北を訪ねた。

三陸沿岸の地は、至るところが更地になっていた。
山を切り開いて高台を築き、住宅の造成地としていた。クレーン車が目に付いた。

震災から5年近くも経つというのに、仮設住宅が残っている。今も「仮住まい」での暮らしを余儀なくされている人たちがいる。

木々の根元から高さ2〜3mのところまで枝が付いていないのは、「そこまで津波が押し寄せた」という痕だと聞いた。

風がえらく冷たくて、震えた。
「まだまだ、これは、そよ風ですよ」
地元の人にそう笑われた。
震災のあの日、寒風に凍えながら、救出を待っていた人たちがいたのだと思うと、居た堪れなくなった。

三陸の海は、美しかった。
見渡す限り水平線。太平洋が広がっている。
でも、あの日、津波となって、この海は荒れ狂ったのだ。
複雑な気持ちで、海を見ていた。