出航

「急ぎすぎてはいけない。道は、ずっと同じ速さで歩いた方がいい。長い道のりなんだ。暴食には味がなく、早歩きは長続きしない、と言うぞ」(ポン・ヂェンミン『山の郵便配達集英社、2001年)

過日、たまたま古本屋で見つけて読んだ中国の現代小説の一節である。

主人公は「山の郵便配達」の老父。山を登り、川を渡り、数日かけて、彼は、村の人々に郵便を配達する。手紙や葉書、荷物を待つ一人ひとりの顔を思い浮かべながらの、まさに「手渡し」の仕事である。

だが、彼も老いには勝てない。ある日、引退を迎える。そして、後を継ぐ息子に、上記の言葉を託す。

持続することも、ひとつの才能だと思う。
続けるには、幾多の壁を、乗り越え、立ち向かい、やり過ごす知恵と意志と技術が必要なのだから。

……ということで、気ままな備忘録、独り言帖の始まりです。
今日から、ぼちぼちと漕いでいきます。