海辺の小さな町へ

○日曜日。
海辺の町へ取材。老舗の個人商店を2年ぶりに訪ねる。

おじいさんから孫、近所の方も来て、昼食と夕食をいただく。大家族に囲まれての、心和むひととき。みなさんから、指折り数え切れないほどの、たくさんの心遣いをいただく。身に余った。ひとつひとつが身に染みた。

「利益優先ではなく、人情を大事にする」
古き良き商いの心が、このご家族には受け継がれている。
20代のお孫さんの座右の銘が、「勤勉・正直・感謝」というのだから。

秋晴れの昼下がり。海辺を案内してもらった。
「海からの贈り物なんだよ、これは」
海岸には、さまざまな貝殻などが落ちていた。
その中で、貴重な一品をいただく。

ちょうど秋祭りの日。地元の神社は、大勢の人でにぎわっていた。
夕暮れどきに、お祭りを見せてもらう。
「おっ、久しぶり!」「元気?」
若い人も、年配の人も、旧友と再会し、喜び合う場面が何度も見られた。
祭りがあるから郷里に帰る。
いいものだと思う。

長い時間、電車に揺られ、深夜帰宅。
すると、海辺を案内して下さった方から、また、会いましょうとメールが届いていた。

「故郷に帰るつもりでゆっくり遊びにお出掛け下さい」

あたたかい言葉をいただき、「ありがとうございます」を繰り返した。